Beyond the reef ストーリー(2)「編むことが幸せ!」編み手さんを訪ねて

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洗練されたデザインが人気のニットバッグブランド、Beyond the reef。

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Beyond the reefストーリーの後編では、編み手さんに会いにコミュニティカフェ「いのちの木」を訪問します。(ブランドの立ち上げ経緯を紹介した前編はこちら

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〈横浜市都筑区にあるカフェ「いのちの木」。こだわりのコーヒーや紅茶を飲みながら、編み物や布小物作りなども楽しめる。〉

遠目からも温かみのある光が目を引く、ナチュラルで親しみやすい外観。とても入りやすい雰囲気です。さっそく中に入ってみましょう。

 

笑い声が絶えない、活気のある空間から編み出されるバッグ

扉を開けると、中は活気と熱気に満ちあふれていました。訪れたのは肌寒い日だったにもかかわらず、なんだか汗ばむような熱気です。みなさんの笑顔と笑い声で、カフェ全体が明るく照らされているような感じがします。Beyond the reefのニットバッグは、「いのちの木」で開催されている「編み物サークル」のみなさんが編み手となって製作されています。

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〈高齢者が中心の編み物サークルだが、楽しい雰囲気はまるで女学校のよう。〉

月に2回、各自家で編んできたバッグの編み地を持ち寄り、検品を受けます。そして、次回編む分の毛糸を持ち帰ります。

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〈さまざまなデザインと色の編み地。これから中布と縫い合わせて、クラッチバッグに仕上げる。〉

 

「編むことが幸せ。ここでみんなに会えたことが幸せ。」

何人かの編み手の方に話を聞いてみましょう。

◎春枝さん

「私はこちらに参加してまだ日が浅いのですが、棒針の太さと自分の編み方の手加減を合わせるのに、半年かかりました。今日はこれからチェックを受けます。ドキドキしますが、この緊張感もまた楽しいです。」

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「こちらは定番のIneという名前のバッグです。規定のサイズに仕上がっているか、メジャーで測りながら編むんですよ。」

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◎子育て中のママ、香織さん

「自分でクラッチバッグを編んでみたくて、ネットで検索したら、Beyond the reefが出てきました。自宅からも近くて、もうこれは絶対運命だ!と思って(笑)。編み物は好きなんですが、周りでやっている人が少ないので、趣味を共有できる仲間ができて嬉しいです。」

「今回はBloomと、Diamondを編みました。Bloomは新作で、セーターのようなゴム編みが新鮮です。」

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「Diamondは全面同じハニカム模様で編んで行きます。こちらは時間と手間がかかりますね。どちらも編んでいてとても楽しいです。」

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香織さんの他にも、まだ小さいお子さんを育てているママの方も見学にいらしていました。

「Beyond the reefのインスタを見て、私が探していたのはこれだ!と思って来ました。まだ子供が小さくてなかなか外出ができないので、家で編むことができるのは嬉しいです。ベテランのみなさんに編み方を教わりたいと思っています。」

 
◎厚子さんと隆子さん

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〈右が厚子さん、左が隆子さん。二人ともベテランの編み手です。〉

厚子さんは以前、編み物のお仕事もされていたそうです。

「編み物は手軽にできるのが嬉しいですよね。ひざの上ですぐにできるのがいい。編み物はお仕事でもしていたり、いろいろな手芸をしてきました。家族の転勤で横浜に来て、久しぶりにまた何かやろうかなと思っているときに、ここのサークルの記事を新聞で見て、私が探していたのはまさにこれだ!と思って来ました。」

「ここでの出会いを経て、人生がものすごく変わりました。早く編みたくて、家事にもメリハリをつけるようになり、一日の過ごし方が激変した。もうちょっと編みたいのにと思いながら、5時になったら一旦切り上げ、また夕食後、寝るまで編んでいます。編むことが大好きなので、一緒に編む仲間たち、みんなに会えたのが幸せです。」

 
隆子さんはカフェのオーナー、岩永敏明さんのお母さんでもいらっしゃいます。隆子さんを中心に編み物サークルを立ち上げ、メンバーが徐々に増えて来ました。

「以前は手袋やマフラーを編んで、友人にプレゼントしたり、カフェの併設ショップで売ったりしていました。Beyond the reefのバッグは編んでいてとっても楽しいです。お金というより、編み上がったときの達成感が大きい。一人暮らしなので、お昼ご飯をはさんで、ずっと編んでいます。」

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〈片時も手を休めない隆子さん。〉

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〈高速で黙々と動き続ける手の中から、美しい編み目が生まれる。まさに職人技。〉

 
みなさんのお話に共通しているのは、「ここに出会ったとき、運命だと思った。これは私のためにある!」と強く思ったことです。それはこのような場を切実に求めている方が多いということなのでしょう。

そしてどなたも瞳をキラキラ輝かせ、「編み物が大好き。編んでいるときが最高に幸せ」と語ってくれました。大好きで得意な編み物が、商品になって誰かに喜んでもらえること、仲間がいること、それが生きがいにつながっているのは、みなさんの満面の笑顔から伝わってきます。

 

自分の役割がある、誰かが喜んでくれるというのが喜び

「月2回、午後から集まり、お茶とお菓子をいただきながら、おしゃべりをして帰る。みんなそれが最高に楽しい時間のようです」と代表のkaeさん。

みなさんが編み物をしながら、おしゃべりを楽しんでいる横で次々と検品中です。ここでのチェック項目は主に3つ。まずサイズは合っているか。

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編み目が揃っているか、編み間違いはないか。

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全体の印象を改めてチェック。ふっくらした感じはあるか。

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「今日の検品を含め、合計4回、異なるスタッフがチェックします。基準に達しないものは潔く編み直します。検品がきびしいので、初めての方は慣れるまで時間がかかりますが、他の編み手さんに教わりながら、めきめき上達していきますよ。編み込んでくると編み目の表情がどんどん豊かになっていくんです。それを感じるのも喜びですね」とkaeさん。

「みなさん、基本的に『人の役に立ちたい』と思っていらっしゃいます。自分の役割がある、誰かが喜んでくれるというのが喜びなのです。一人暮らしの高齢者が多く、今まで一人で編んでいた方が多い。でもそれは実は素晴らしい技術なんだよ、すごいんだよということを感じて欲しいです。」

 
美しくふっくらと整った編み目、手編みならではの温もり。編み手のみなさんの「編んでいて楽しい、幸せ」という気持ちが一目一目に編み込まれています。そうして編まれたバッグは、心をほっと和ませるやさしさや豊かさを感じさせる佇まい。バッグを手にする度に編み手のみなさんの輝く笑顔が思い出されます。

 
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〈初期から活躍されているベテランの編み手さんたち。左から、美智子さん、隆子さん、昌子さん、玲子さん。〉

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〈嘉津江さんと笑顔が愛らしいお母さん、親子で編んでいます。〉

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〈代表のkaeさんと義理のお母さん、美智子さん。最強の嫁姑タッグです。〉

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〈カフェオーナーの岩永敏明さんも一緒に、全員で記念撮影。自分が編んだ作品を手に、みなさんの表情も輝いています。〉

 
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◎Beyond the reef(ビヨンドザリーフ) 編み物技術の継承と高齢者の社会参加を目指して生まれたファッションブランド。編み物から内布作り、縫製、仕上げまで、すべて手作業を行っている。超極太糸で編んだ生地にシェルやヒトデを留め具にしたおしゃれなデザインが幅広い世代に人気。 http://beyondthereef.jp/

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