お気に入りの布で作るフランスの工芸品「カルトナージュ」とは?

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「カルトナージュ」とは、組み立てた厚紙に美しい布を貼って作る、フランス生まれの手工芸品のこと。フランス語で厚紙のことを「カルトン」といい、18世紀の中頃、南フランスの田舎町で蚕のまゆを輸送するための器として作られたものがはじまりと言われています。その美しさから19世紀にはフランス各地に広がり、特に上流階級の女性を中心にデザインの美しさを競うようになったのだとか。

作り方は簡単で、厚紙を箱型に組み立てて好きな布を貼っていくだけです。用意するのは、厚紙と布のほか、ボンドやカッター、刷毛などで、専用に準備しなくてはいけない道具もありません。また厚紙から箱を組み立てるのではなく、既製の紙箱に好きな布を貼っていく「カルトナージュ風」のクラフトを楽しむ人も増えているようです。いずれにしても、カルトナージュのいちばんの楽しみは、布選びにあるでしょう。好きな柄の布を選んだり、複数の布の組み合わせを楽しんだり……。素敵なデザインの布で作ったカルトナージュは、毎日の生活の楽しいアクセントになるはずです。

布にもいろいろな種類がありますが、初心者なら、張りのあるコットンや麻布を選ぶといいでしょう。絹や薄手の布はシワになりやすいので、やや上級者向けのようです。生地のデザインは好みのものでOK。優雅な雰囲気にしたい、シンプルな生地で色合わせを楽しみたい、ドット柄でキュートに仕上げたいなど、作りたい雰囲気で生地を選んでみてください。

優雅な作品に仕上げたいなら、ヨーロッパ製の生地がぴったりかもしれません。たとえば、18世紀のフランスの生活風景やモチーフを描いた「Toile de jouy(トワルドジュイ)」と呼ばれる生地。これはヴェルサイユ宮殿の近くの街「Jouy-en-Josas(ジュイ オン ジョザス)」で製造された生地の総称で、室内装飾のほか寝具やティーポットなど、上流階級の人々に好まれたのだそう。

ちなみに、1908年に創業したフランスの老舗ブランド「THEVENON」には、「マリーアントワネット」と名付けられた生地があるそうです。マリー・アントワネットといえば、2006年にソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』でも話題となり、その豪華絢爛な世界観に魅了された人も多いことでしょう。オーストリアのハプスブルク家からフランス ブルボン家に嫁ぎ、ヴェルサイユ宮殿での優雅に暮らしたマリー・アントワネット。生地に描かれたデザインのことを思いながら手を動かすというのも、カルトナージュ製作の楽しみのひとつかもしれませんね。

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