【favori】fabrica ukaインタビュー(2)人によって見え方が異なるのがおもしろい、派生するデザイン

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「fabrica uka(ファブリカ・ウカ)」の戸田亜由美さんのインタビュー後編をお届けいたします。
—前編はこちら。

戸田さんは暮らしの中の「もの」「こと」をモチーフにしたパターンの制作を行い、シルクスクリーンで一枚ずつ生地にプリント。さらにステッチを加えて、作品に仕上げています。

 

空間デザイン、グラフィックデザインを経て、子供の頃から好きだった手芸へ

 
——パターンのデザインを始めたきっかけを教えてください。

もともとは空間デザインをしていました。そこからサインや看板などの、グラフィックデザインも手掛けるようになりました。自分で柄を作るようになったのは、小さい頃から手芸をやっていたのもあると思います。

最初にパターンを作ったのは今から10年前。描きためてたスケッチをデータに起こして、印刷会社に頼んで、インクジェット印刷で出してみたんです。初めて自分のデザインが生地となったのを見て「わあ」と感動して、ランチマットやテーブルランナーを作ってみました。でも当時はそこまでで、満足してしまいました。そうこうしているうちに、グラフィックの仕事で忙しくなってしまって、そのままに。

 
——再開したきっかけは?

あるとき、ふと時間ができて、新しいことをやりたいと思ったんです。デザイナーとして、自分で一から突き詰めてものづくりをしたいと。今度はプリントも自分でやってみようと、シルクスクリーンで刷ってみました。そうしたら偶然にできる、かすれや、ずれとかが良かったんです。リネンにプリントしたのですが、織りの表情の出る感じが、とてもしっくりきました。リネンは水通ししただけで、長い間使った生地のような感じになるのもいいですよね。作りたいものを決めて、使う布の大きさを決めてから一枚ずつプリントしています。

 
——プリントした布で作品を作ろうと思ったのは?

子供の頃から手芸好きだったので、自然な流れですね。母がいろいろ作ってくれました。私が本当に小さい頃は母が作ってくれたワンピースを着ていました。母の裁縫箱は憧れの箱で、その中に入っている布の端切れとかボタンで、意味不明な謎の作品を自分で作ろうとしていました。思い返すと、手芸の原体験はそこなんでしょうね。今使っているミシンと裁ちバサミは母から譲り受けたものです。足踏みミシンにモーターをつけて使っているんですよ。

作品をある程度作りためてから、クラフト系の展示会やイベントに出展するようになり、ネット販売も始めて、徐々にいろんなご縁が広がってきました。

 

見る人によっていろいろなものみ見える、柄自体に派生していく力がある

 
——こちらのパターンはおもしろいですね。幾何学的だけど、ユーモラスな感じ。

新柄は、最初に何も言わずにfacebookにアップするんです。そうするとみなさん、いろんな柄に見えるようで。

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この柄は、玉ねぎ、タジン鍋、ボトル、つぼみなど、いろんな声をいただきました。

実は、富士山がモチーフになっていて、fujisanという名前です。

 
ポピーレッドの生地と合わせて、小さながま口に。”Fuji in the palm”(手のひらの富士山)と名付けました。
丸いフレンチノットステッチをアクセントに、ランニングステッチもちくちく入れてみました。

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——こちらのポシェットはまた雰囲気が違いますね。

これは白一色で単色刷りにしています。玉ねぎっぽい感じですかね(笑)。

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赤いステッチを入れました。全部でなく、一部にだけメリハリをつけて。

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何色でプリントするか、単色使いか2色でいくか。生地の色は何色にするかで、まるっきり違う印象に変わります。ステッチの入れ方でも変わっていく。いろいろアレンジできるから、いろんなものに見えたりするんだと思います。元のモチーフはあまりわからなくなって、どんどんいろんなものに派生していくのがおもしろいです。

 
 
——こちらのパターンは何でしょう。

あじさい、花火、ブロッコリーなどと言われましたが、

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kamifubiki(紙吹雪)がモチーフです。床にハラハラと舞い落ちた紙吹雪。みんなが帰っちゃった後、楽しかった時間の余韻。そんなイメージで作りました。

 
このがま口は、モチーフの間に、濃いグリーンとセージグリーンのステッチをランダムに入れて。
隣のライムグリーンの生地にも何となくステッチを刺していたら、花輪のような形になったので、かわいく薄ピンクのノットステッチを入れてみました。

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こっちのポシェットでは濃い色にプリントして、1カ所のみステッチを加えています。
夜、縁日の屋台をワクワク散歩している時間をイメージして作りました。

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赤いクロス型のステッチを入れると、幾何学的な感じに。
横は先ほどお見せしたfujisan。モノクロだとまた印象が違いますよね。
マカロンのようなコロンとしたブレスレットです。

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最初は花やボタンなど、具体的でわかりやすいモチーフを作っていたんですよ。でも最近はエッセンスをすくって、シンプルなパターンに変わってきました。柄の連結の仕方で、見え方が変わったりするので、試行錯誤しています。やっぱりそこにはグラフィックデザインのベースがあるのだと思います。

 

紙吹雪柄を、日傘キット用にアレンジ

先ほどのkamifubuki柄、実は日傘キットのベースになっているんです。傘の形に合わせて、裾に広がっていくように大きさを変えたら、紙吹雪が舞っているようなイメージになりました。『favori』がフランス語で「お気に入り」という意味なので、紙吹雪をフランス語にして、confetti(コンフェティ)と名づけました。

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こちらはステッチを加えたバージョン。いくつか模様の内側をセージグリーンの糸で刺して、少しカラフルな紙吹雪に。ライムグリーンのバックステッチで間を縫うようにつなげてみました。

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ぜひみなさんもお好きなステッチを入れて、楽しんでくださったら嬉しいです。

 
——これからはどんなものを作っていきたいですか?

今は「引き算のおしゃれ」に興味があります。柄もよりシンプルになってきました。あと、リネンと組み合わせる素材をいろいろ試しています。もこもこしたウールやツイードと合わせたりしています。

ちょうど『favori』10月号では、秋のおしゃれにぴったりのブローチを作成しました。リネンとウールなどをミックスして、ステッチを加えた遊び心のあるブローチです。楽しみにしていてください。

 
 
◎fabrica uka〈ファブリカ・ウカ〉戸田亜由美 グラフィック、テキスタイル、WEBなど、幅広くデザインを手がける。暮らしのまわりの「もの」「こと」をモチーフにしたパターンの制作を行い、パターンをプリントしたリネン生地にステッチを施した繊細で存在感のある作品が人気。

「ウカ」というのは「雨過天晴、アメスギテ テンハル」という四字熟語から。雨がやんで空が晴れるという、なんてことない自然現象ではあるけど、それだけで少し気持ちが上がって、何かをするきっかけになるかもしれない。そんな時のお供になれる物作りをしていきたい思っている。 http://fabricauka.jp

 
fabrica ukaインタビュー(1)日常にあるモチーフから生まれる、世界にひとつの作品作り
「お気に入り生地で作るオリジナル日傘キット」に関するブログ記事はこちら


favori ファヴォリ

日常の小さなときめきや、お気に入りを探す雑誌『favori』です。

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『favori』2号目のキットは【お気に入り生地で作るオリジナル日傘】

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◎キットお届け内容:折りたたみ用傘骨…約30cm、ハンドル…直径2.8×長さ5cm/天然木、石突き…直径1.7×長さ1.8cm/天然木

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〈以下は別便でお届けします〉傘用オリジナルプリント生地…約3m×50cm/綿ポリエステル混紡、ネーム布…約16cm/綿ポリエステル混紡、天紙用接着芯…約8cm角/不織布

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◎用意するもの
ミシン、ミシン糸(普通地用60番/グレイ)、ペン型チャコ(消えるタイプ)、まち針、縫い針、定規、裁ちばさみ、ピンキングばさみ(なくても可)、糸切りばさみ、ループ返し、ひも通し、アイロン、アイロン台

*オリジナルプリント生地の扱い方の注意
この生地は、日傘用の生地です。防水、撥水などには対応しておりませんので、製作した傘は日傘としてご使用ください。長時間水につけておくと、変色することがあります。もし濡れてしまった場合は、すぐに水けをふき取って、よく乾かしてください。また、アイロンは中温のドライの設定で使用してください。

*サイズ色味等変更の場合もありますのでご了承ください。

★詳細、ご購入はこちらから→ favori ファヴォリ  website

 

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