【favori】アンティークビーズと着物、古いもの同士のモダンなハーモニー 大西淳子さんインタビュー〈前編〉

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『favori』読者の間でも「作ってみたい!」と挙げられることの多い大西淳子さんの作品。和柄のショルダーバッグは、大正時代から昭和初期に流行った斬新な着物の組み合わせをイメージして作ったもの。絶妙な布合わせとビーズ刺繡がモダンで洗練された印象です。

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ヨーロッパのレースやアンティークの生地をあしらった作品も多く「フランスっぽい」と言われるのもうなずけます。黒のモチーフレースを、ブルーのモアレ生地にビーズで縫いつけた眼鏡ポーチも人気の高い作品です。

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思わず見入ってしまうような、洗練された細やかな作風はどのように養われてきたのでしょうか。手芸作家になったきっかけや、ライフワークとしている、古い着物を使った作品などについて話を聞きました。

 

表参道のアンティークショップのウィンドウディスプレイで手応え

 
——手芸作家になったのはどのようなきっかけですか。

アンティーク家具の会社に勤めていて、そのショップに置くディスプレイ用のものを作り始めたのがきっかけです。もともと子供の頃から手作りは好きで、ちょっとしたものは自分で作っていました。一人暮らしでも母が積み立てして買ってくれた、結構いいミシンは持ってきていたんです。

——お母さまが手作りがお好きだったのですね。

そうですね。母が編み物したり、洋服つくったりして、家にはたくさん端布があって、私もその端布でものを作っていました。当時はバッグより、インテリア小物。高校生の時は自分のお部屋が自分のお城なので、そこをきれいにしたいというのがあって。クッションやウォールポケットなど作っていました。

——家具の会社に就職したのはやはりインテリアがお好きだったから?

アンティーク家具が好きだったんです。会社に入ったのも、表参道の同潤会アパートに当時その会社のお店があったんですね。すごいかわいいお店で、アンティークランプがわーって飾ってあって、「夢のようだわ、私、もう絶対ここで働きたい!」と思って、ちょうど求人をしていたので、OLを辞めて。

——今は表参道ヒルズになっているところですね。なんというお店ですか?

ウッドペッカーというお店でした。ショップは一階にあったので、大きいウィンドウが通りからよく見えて。みなさん写真を撮ったり、名所みたいになっていて、土日は入場制限するくらいお客様がいらしてました。

勤め始めて数年後にウィンドウディスプレイを任されるようになったのですが、家具に合うようなインテリア小物を探しても、当時は見つからなくて。だったら自分で作ってみようと、生地やレースを探しに行きました。当時の原宿は街自体もアンティークショップが多くて、そういう環境で自分の中のアンティーク熱もどんどん高まって行きました。アンティークと手作りって接点があったんでしょうね。

——どんな風にディスプレイしたんですか?

あの大きなウィンドウにポンポンのついたカーテンを付けたら、かわいいんじゃないかなと思って作ったり、クッションやランプシェードなどの小物を作りました。思いのほか評判が良くて、特にランプシェードは反響があり、後に雑誌にも取りあげられました。それで実際にお店の売上も上がって、ウィンドウって大事なんだなって。すごく仕事が楽しかったですね。

 

手芸作家として独立。自作のカタログで営業へ

 
——作家としてやって行こうと思ったのはいつですか?

その後は他のアンティーク家具屋に移って、しばらく勤めてたのですが、自作の小物の評判が良かったので、これはもしかして仕事になるかも思って辞めました。今から思うと本当に大胆だったなと思いますが(笑)。自分で営業用のカタログを作って、商品をかついで都内のお店を訪ねて委託販売をお願いしたり、地方のお店にもカタログを送ったりしていました。まだデジカメもないときなので、紙焼きの写真とワープロで打った説明文を台紙に貼ってました。

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〈大西さん手作りのカタログ。左は雑誌にも取りあげられたラフィアを手編みしたランプシェード。〉

——バッグはいつ頃から作り始めたんですか?

あるショップの方に「女性はバッグが好きだから、インテリア小物よりバッグの方が売れるんじゃない?」ってアドバイスをいただいてからです。女性は人に見せたいというのもあるんでしょうね、徐々に売れるようになり、バッグの方へ転向していきました。

 

ビーズショップのオーナーとの再会

 
その頃以前勤めていた家具の店のお客様、ビーズショップのオーナーの方と街でばったり会って「今何してるの?」と言われて「手芸を仕事にしています」って言ったら「じゃあ、うちでお教室をやってみない?」と言ってくださって。そんな講師の経験もありませんし、辞退したのですが、「できるから大丈夫。今から私のお店に来てサンプルを作ってみましょう」と(笑)。

——もしかして『favori』vol.04でも紹介した「ネックレス ネックレス」ですか?

そうです。オーナーの白井さんに偶然再会したご縁で、ビーズ教室をさせていただくことになりました。当時アクセサリーの教室はたくさんあったけど、布にビーズをつけてバッグやポーチを作るというのはめずらしくて、結構生徒さんが集まってくれました。

「ネックレス ネックレス」は本当にすごいお店で、ビーズも素晴らしいけど、アンティークのリボンや生地などもとっても素敵で。こんなに美しい、素晴らしいものが世の中にあるなんて、といつも圧倒されていました。お店でアルバイトもさせていただいて、お客様のご要望も聞きながらいろいろ勉強させていただきました。

 

アンティークビーズと着物、古いもの同士がマッチした

 
——着物を使った作品はいつ頃から作り始めたんですか?

ちょうど同じ頃に、友達に手芸の仕事を始めたんだと話したら、お友達のお母さんがいろんな生地を送ってくれて、その中に昔の着物が入っていてかわいいなと。それからだんだん着物にはまって、着物の端布をたくさん買いこんでは、引き出しに入れて出しては眺めていました。『ネックレス ネックレス』で買ったアンティークビーズを、ここにつけたらかわいいだろうなと合わせてみたら、古いもの同士よく合ったんです。遊びでいろいろ作っていたのですが、それを新鮮に感じてくれる方が、着物とビーズってすごくおもしろい、と言ってくださって。クレジットカードの会員誌の取材を受ける機会をいただきました。

そうしたらその記事を見た出版社の方が興味を持ってくださり、「本を作りませんか」と言われて。大変びっくりしたのですが、ちょうど着物のブームがあったので、なんか企画が通ってしまった。それまでの着物リメイクはちょっと渋いテイストが多かったのですが、着物にビーズをつけるというのがポップでおもしろいと。
 

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〈「ビーズと古裂の小物」「ビーズと古裂のバッグ」(ともに、世界文化社刊)〉

 
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〈「ビーズで飾る和裂の小もの」(日本ヴォーグ社刊)より。縮緬の古裂で作ったバッグ。同色のブルーとからし色のビーズのフリンジをあしらいました。〉

 
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〈「和柄の布合わせ」(日本ヴォーグ社刊)より。和柄に圧縮素材やデニムを合わせたバゲット型バッグ。〉

 
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〈2003年にはオリジナルの和柄「en plus de…」(アン プリュ ドゥ)をプロデュース。それらを使ったアクセサリー感覚の口金ポーチ。フリンジ、タッセル、チェーンを自在に合わせて。〉

 
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〈着物の柄からヒントを得た8角形と正方形をつないだデザインのバッグ。和柄に絵を描くようにビーズの輝きをあしらいました。〉

※いずれの本も現在は絶版になっております。
※「ビーズで飾る和裂の小もの」「和柄の布合わせ」(日本ヴォーグ社刊) 撮影:尾山祥子
※オリジナル和柄「en plus de…」(アン プリュ ドゥ)の販売は終了しました。


前編はここまでです。後編では「今後またさらに進化した着物リメイクに挑戦したい」という大西さんのお話を聞きます。続きはこちらから。

 
◎大西淳子 手芸作家。1997年から「ニードルワークマーブル」としてハンドメイド製品の企画・製作を開始。年に2回の新作発表の作品展を軸に、手芸雑誌への作品提案や講習会などを手がけている。http://www.needleworkmarble.jp

★ ストーリーのあるバッグ作り 大西淳子さんの世界〈前編〉
★ 素材の良さを最大限に引きだす細やかな手仕事 大西淳子さんの世界〈後編〉


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日常の小さなときめきや、お気に入りを探す雑誌『favori』です。

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◎キットお届け内容

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