【favori】竹川ゆり子さんインタビュー シンプルでベーシックな中に、ひとひねりあるものを作りたい

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シンプルでベーシックな中に、絶妙な大人のひねりがあるバッグ

『favori』10月号のキット「ロッタ・ヤンスドッター™のキルティング地のバッグ」のデザイナー竹川ゆり子さんのインタビューをお届けします。

竹川さんのブランド、LLO(ロー)のバッグは毎日使いたいシンプルでベーシックな形の中に、絶妙な大人のひねりがあるのが特徴です。縫製の仕方や形に一目ではわからない、からくりや遊び心が仕込まれています。

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〈『favori』のためにデザインした、ロッタ・ヤンスドッターさんの生地を使ったバッグキット〉

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〈自身のブランド、LLOのヒッコリートート〉

定番のヒッコリートートは、ピッチの違うヒッコリーストライプの布をはぎ合わせ、折り紙のように折って縫っています。一見シンプルな作りですが、縫い方が一般的なバッグのように前、後ろという構成ではありません。布を斜めに接ぎ、折ってから袋状に縫っているのです。バッグ全体が2重になっており、裏地のでているところがないので、しっかりして持っていても安心感があります。縫い目が対角線上に走るのも、視覚的なおもしろさを演出しています。

あくまでシンプルでベーシックな中にある、さりげないひとひねり。どのような発想で作品作りをしているのか、お話を聞きました。
 

「ちょっと変わっているね、でもそこに愛着を感じる」バッグ作りを

——ロンドンの美大でテキスタイルを学ばれたのですね。

はい、機織りとかやってました。トンカラトンカラ(笑)。テキスタイルのデザインもするのですが、布自体を作ることから学びました。機織りしたり、プリントしたり、編んだり、刺繡したりといろいろやりました。
 

——帰国後はアパレルメーカーへ就職なさって。

イッセイミヤケ HaaT の企画室に勤めていました。テキスタイル担当かと思ったら、なぜかバッグやファッション小物全般の担当で。仕事の流れとしては、まず最初にコレクションの服が決まってから、バッグ、靴、スカーフとか小物が追いかけるのが基本パターン。服を見つつ、企画を立てデザインを起こして、サンプルを作成するという感じですね。
 

——フリーになられたきっかけは?

とてもクリエイティブな職場だったのですが、10年近く勤務したので、何か新しいものにチャレンジしたいと思いました。今度はちょっと変わったもの、シンプルな中に少しひねりのあるものを作りたいと思って。
 

——LLO(ロー)というブランド名もひねりのある感じですよね。

LLO(ロー)は「a Little Less Ordinary 」というフレーズの頭文字からつけました。「ちょっと変わっているね、でもそこに愛着を感じる」という意味です。あと視覚的には、LLOってアルファベットの形として見たときにあまり特長がない。110にも見えたり。柄を作ったり、後々いじりやすいかなと思ったのもあります。
 

——なるほど、図案的に直線と丸で構成されているから。

そう、なんか「縦線、縦線、丸」ってシンプルな形が並んでいるのがおもしろいなと。
 

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〈ブランドロゴも図案的にシンプルに〉
 

デスクの上には紙とセロテープとホッチキス。手を動かしながらデザインを起こす

——形はベーシックなんだけど、作り方が一般的なバッグとは違いますよね。

そうですね。洋服の会社にいたというのもあったので、バッグ専門で作っている会社とはアプローチが違うような気がします。前、後ろ、マチ、ポケットとパーツを組み立てていくというのではなく、たとえばこのヒッコリートートはこういう風に…(長方形の紙をパタパタと折り紙のように折って説明を始める)ここの対角線をこう合わせて、ここを縫い合わせて…
 

——本当に折り紙みたい!これは一体どうやって思いつくんですか??

私はデザインするのに、絵を描かないんです。絵だと、裏表がわからない。こうやって紙や布を折ったり貼ったりして、実際に手を動かしながらアイディアを練っていきます。なので、いつも裏紙とセロテープ、ホッチキスが手元に置いてある。

立体を作りながら、アイディアを発見する。図面は後から起こすんです。三次元で考える。絵で描いていたら思いつかない作り方だと思います。
 

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〈対角線上に布を接ぎ合わせたヒッコリートート〉

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〈裏を返したところ。両側に縫い目がない。袋状になっているので、生地の裏が見えない〉
 

——他にも同じように作っているバッグって見たことありますか?

あるかもしれませんが、私は今まで見たことはないですね。実はシンプルな構造なんだけど、なかなか思いつかないのかもしれませんね。
 

——こちらのトートバッグはどうやって縫っているんですか?

これは4枚の布をバッグの底で風車のように合わせて、らせん状にねじりながら立体的に縫っています。ヘリックストートという名前です。ヘリックスはらせんという意味なので、そこから名付けました。側面にはやはり斜めに縫い目が走っています。底の形は対角線に縫い目が走る正方形です。

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〈らせん状にねじりながら作るヘリックストート〉

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〈底の形は対角線に縫い目が走る正方形。はっとする内布の色使いも素敵〉
 

——内布の形も風車のようですね。

よく和風小物っぽいとも言われます。お手玉とか、折り紙とか。縫い目が表になかったり、裏地が見えないところとかそう感じるのかもしれませんね。
 

——図形遊びみたいな感じもありますね。

そうですね。しくみ、形そのものに興味があります。これ、どうなってるの??というものが作りたい。元々シンプルなテイストが好みなので、ベーシックで毎日使えるもので、かつちょっとだけ変わっているもの。これ見よがしにならない、さりげない感じが好きです。シンプルだから結構男性の方も使ってくださいます。

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〈ユニセックスで持てるLLOのバッグ。男性ファンも多い〉
 

——今回の『favori』のバッグにも竹川さんのテクニックが随所に仕込まれていますよね。

そうですね。生地の雰囲気は違いますが、こちらも縫い目が表に出ていない、空気を含んでふわっとしている、どこも裏地が出ていないなど、ポイントとなるところは同じですね。大人の女性のためのバッグなので、できるだけ洗練された感じに仕上げました。
(詳細はこちら:大人のためのキルティングバッグ、デザイナー竹川ゆり子さんに聞く制作ストーリー

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〈竹川さんのテクニックが随所に仕込まれているバッグキット〉
 

今後はひとひねりある生地作りもやってみたい

——今後、挑戦したいことなどありますか?

いろいろな形や作り方を引き続き考えていきたいのと、あとは素材を作り込んでみたいですね。布から作ってみたいです。柄や織り方、染め方もオリジナルで生地作りができたら、と思います。たとえば織りで縞模様とか作ってみたいですね。染めではなくて織りでやってみたい。
 

——ロンドンでテキスタイル作りから学んだことが、また生かされますね。

そうですね!その生地で職人さんと一緒にものを作っていきたいでね。今も縫製は地元の信頼のおける職人さんたちにお願いしています。直接顔と顔を合わせて、何かあればすぐに会って相談ができる距離が私にとっては大切。職人さんたちは「この作り方、おもしろいねー!」と喜んでくれます。
そんな風に作り手の方たちと丁寧にコミュニケーションをとりながら、ひとひねりあるものづくりを今後もしていきたいですね。
 
 

◎LLO(ロー)竹川ゆり子 Chelsea College of Art & Design(イギリス/ロンドン)テキスタイル科卒業後、2000年より(株)イッセイミヤケ HaaT企画室でファッション雑貨の企画デザインを担当。2009年からフリーランスとして活動を開始。2013年にLLO(ロー)を設立。ブランド名は、「ちょっと変わっているね、でもそこに愛着を感じる」という意味、a Little Less Ordinary の頭文字から、LLO(ロー)と名付けられた。毎日身につけたり使ったりするものだからこそ、丁寧に作られた上質なものを。シンプルだけれど、少しひねりのあるものを。そんな思いでものづくりをしている。 http://llo-design.wix.com/llo-design
 

「ロッタ・ヤンスドッター™のキルティング地のバッグ」キットは『favori』10月号でお求めになれます。

 


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