Beyond the reef ストーリー(1)きっかけは義母を元気づけたくて

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Beyond the reefはファッションライターでもあるkaeさんが、2014年に設立したニットバッグのブランドです。編み物から内布作り、縫製、仕上げまで、すべて手作業で製作しています。ウェブサイトでの販売を始めてからまだ約1年半ですが、おしゃれなデザインに瞬く間に人気が広がり、幅広い世代に愛されています。ブランド立ち上げのきっかけや経緯をkaeさんに聞きました。


きっかけは一人暮らしの義母を元気づけたくて

「義父を亡くして、一人暮らしをする義理の母を元気づけたいというのがきっかけでした。一日中編み物をして家にこもるようになり、ふさぎがちだった母。なんとか元気を出して欲しくていろいろ考えました。好きな編み物で何かできないだろうかと思ったことがBeyond the reefの始まりでした。

まずカゴのバッグを渡し、『お母さんのレース編みをつけてみたいの』とお願いしたら、生き生きと編み始めて。出来上がりもとても素敵でした。それから『お母さん、次はこんなのできる?』と私がデザインのイメージを口頭で伝え、それを義母が編むという作業が続きました。試行錯誤を繰り返しながらも、母はどんどんイメージを形にしてくれ、クラッチバッグも含めサンプルがいくつか出来上がりました。そんな共同作業を経て、徐々に義母の表情も明るくなって来たのです。」

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〈楽しそうにカゴのバッグを編む、義理のお母さん、美智子さん。〉

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〈レース編みを縫いつけたカゴバッグが、記念すべきサンプル第一号。クラッチバッグの試作品も。〉

 

ファミリーで力を合わせてブランドを立ち上げる

「ブランドとして立ち上げる決意も固まってきました。ブランドのコンセプトは『海にも都会にも似合うバッグ』。ウールの毛糸に夏のイメージのヒトデやシェルを合わせ、夏も冬もシーズンレスに楽しめるバッグにしようと決めました。

グラフィックデザイナーの義理の妹に協力をお願いし、ロゴ作りから始めました。ホームページ制作も同時に進め、商品の撮影も自分たちでして。どれも初めてのことで大変な作業でしたが、嫁と姑3人のチームワークで次々と現実化していくのは、本当に嬉しかったです。」

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〈ブランドカラーは大好きな海のブルーをイメージ。〉

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〈ロゴ入りのブランドタグも完成。〉

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〈オンラインショップに載せる写真も、海のイメージで撮影。〉

 

編み手さんを探しに。コミュニティカフェ「いのちの木」との出会い

「ブランドとしてバッグの販売をするためには、義母以外にも編んでくださる方たちが必要です。義母のように編み物が得意な高齢者が他にもいるはず。そのすばらしい技術を通して社会参加することができたら、生きがいにつながるのではないか。そう信じて、いろんなところにお話をしに行きました。でもなかなかうまく進まず、行き詰まってしまいました。

そんなときに、ひとつの出会いがありました。NPO法人『五つのパン』が運営するカフェ『いのちの木』で開催されていたシニア編み物サークル。オーナーの岩永敏明さんのお母さまもこのサークルに参加しているというのを知り、『私と状況が似ている!』と驚きました。そして、場所も自宅から近かったのです。すぐに『ここだ!!』と運命を感じ、お電話して会いに行きました。岩永さんに熱い思いをお伝えしたら、『やってみましょう』と。まだ商品になる前でしたが、協力を快諾していだたきました。」

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〈カフェ「いのちの木」で開催されるシニア編み物サークルで、Beyond the reefのバッグを製作していただけることに。〉

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〈地域福祉を支えるコミュニティカフェ「いのちの木」は「高齢者の技術や知恵を次の世代に繋げていく」をコンセプトにしている。〉

「編み手さん以外にも、中布を縫いつけてくださる縫い手さんも集め、製作の体制が整いました。たくさんの方たちに助けていただきながら、オンラインショップも無事にオープン。バッグのデザインの種類も徐々に増えていきました。すべての工程がハンドメイドです。ご注文を頂いてから製作に入り、一つ一つ丁寧に心を込めて作っています。」

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〈洗練されたデザインが大人気。カラーコードの色や、シェルの種類が選べるセミオーダー形式。バッグにはひとつずつ名前がついている。上から右回りに、Debu、Ine、Diamond。〉

 

高齢者の高い技術を次の世代に継承したい。広がる編み手の輪

「高齢者が社会参加をすることで生きがいを提供できたら、という思いと同様に、この高度な編み物の技術を若い世代に引き継いでいきたいと強く思っています。おばあちゃんたちの編み物の技術は本当に素晴らしい財産です。Beyond the reefがその技術を継承する場になればと願っています。

最初3人からスタートした編み手さんも今や30名ほどになり、若い世代の編み手さんも増えてきました。子育中のママや、親御さんを介護中の方など、いろいろな立場の女性が参加されています。おばあちゃんたちが若い世代に編み物を教えて、編み手として育てて行く。そこまで含めて社会参加なのです。次世代に技術を継承していくという思いが少しずつ叶ってきているように思います。」

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〈編み手さんと縫い手さんのサイン入りカードを一緒にお届けしている。〉

 

品質やデザインに妥協はなし。大切なのは圧倒的な商品力

「こうして集まった編み手さんが編んでいるバッグですが、当然のことながら、品質やデザインに一切の妥協はありません。厳しい検品体制を経て、合格したもののみを商品としてお出ししています。Beyond the reefに来る前は趣味でやっていた編み物も、商品として出すレベルにまで技術を切磋琢磨し、編み手さんは『職人』になるのです。」

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〈厳しい検品をクリアした、出荷前のバッグたち。〉

「どんなに素敵なストーリーがあろうと、どんなに上質な素材だろうと、だれが作ろうと、買ってくださる方には単なる付加価値に過ぎません。一番大切なのは圧倒的な商品力だと思います。もの自体が良くなければ買っていただくことはできません。

さらに継続してファンにはなっていただくためにも、『これ可愛い!』『欲しい!』と思っていただく必要があります。そのためにもデザインや品質にこだわり、みなさんに喜んでいただけるものをいつも考え、開発しています。」

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〈新作のBloom。アシメトリーに配置した編み模様と、セーターのようなゴム編みをミックスさせた、ユニークな編み地がポイント。〉

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〈今夏、百貨店でポップアップショップを出店。ネットと同様、即完売の人気ぶり。〉


前編のkaeさんのお話はここまでです。後編では「いのちの木」を訪問して編み手のみなさんにお話を聞きます。Beyond the reef ストーリー(2)「編むことが幸せ!」編み手さんを訪ねて

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◎Beyond the reef(ビヨンドザリーフ) 編み物技術の継承と高齢者の社会参加を目指して生まれたファッションブランド。編み物から内布作り、縫製、仕上げまで、すべて手作業を行っている。超極太糸で編んだ生地にシェルやヒトデを留め具にしたおしゃれなデザインが幅広い世代に人気。 http://beyondthereef.jp/

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