- 2014-4-1
- はんどカフェBlog, 作り方, 読み物
羊毛フェルトとは?
専用の針でちくちく刺していくことで、繊維がからまって固まっていく羊毛のことです。針で刺しながら形を整えていき、さまざまなモチーフを作ることができます。羊毛フェルトで作るマスコットはほっこりとやさしい風合いが人気で、携帯ストラップやバッグのチャームにしてもキュートです。テレビのバラエティ番組などで活躍する光浦靖子さんが、羊毛フェルトで作った素敵な作品を披露しているのを見かけた人も多いかもしれませんね。羊毛フェルトを針でちくちく刺していくという根気のいる手芸ですが、少しずつ形作られていく制作の過程と完成した作品の愛らしさに、ファンの多い手芸でもあります。
まずは羊毛フェルトの扱い方や、必要な道具を知っておきましょう。
<羊毛フェルトの扱い方>
羊毛フェルトを分けるときは、手で取り分けるのが基本。繊維に沿って分けるときは裂くように、繊維を分断するときはゆっくりと引き抜くようにちぎる(写真)。
<羊毛フェルトの量り方>
0.1g単位で量れるはかりがなければ、1g分を量ってから10等分にし、ひとかたまりを0.1gに換算して、だいたいの量を用意する。
※フェルティング用針をちくちく刺せば刺すほど、羊毛フェルトはかたく、小さくなるので、記載している羊毛フェルトの量はあくまでも目安とする。
<ちくちく刺すときの注意>
フェルティング用針が曲がったり、折れたりしないように、垂直に刺し、垂直に抜くこと。指を刺さないように気をつけながら、ひと刺しごとに、ゆっくり作業する。
<フェルティング用針(a)>
針先に細かいへこみがある専用の針。この針で羊毛フェルトをちくちく刺すと、羊毛の繊維どうしがからまり、形を作ることができる。
<フェルティング用マット(b)>
羊毛フェルトの下に敷いて作業する。台にキズをつけるのを防ぎ、針が折れた場合の飛散防止にもなる。
※その下に、さらにカッティングマットや不用な雑誌を敷き、針で台にキズがつくのを防ぐ。
<羊毛フェルト>
フェルトシートになる前の、羊毛の状態。1袋50g程度のものと、何色かが少量ずつセットになったものがある。
<ソリッドアイ>
差し込みタイプの、ぬいぐるみ用の目。なければ、黒の羊毛フェルトを刺してもOK。
「ネックレスをしたうさぎ」で基本の作り方をマスターしましょう
【材料・道具】(1体分)
・羊毛フェルト:パーツ用(薄茶またはグレイまたは白)約9.3g+適量、鼻&口用(薄茶またはグレイのうさぎ:こげ茶、白のうさぎ:ピンク) 適量
・布(好みの色柄) 7.5㎝×5.5㎝
※布目方向は縦横自由。
・直径0.4㎝のソリッドアイ(黒) 2個
・直径0.4㎝のパールビーズ(白) 16個程度
・好みのアクセサリーパーツ
フェルティング用針、フェルティング用マット、カッティングマット(不用な雑誌でもOK)、定規、ペン型チャコ、裁ちばさみ、縫い針、縫い糸(布の地色と同色、白)、糸切りばさみ、目打ち、ボンド、はかり(あれば0.1g単位で量れるもの)
パーツを作るときは、羊毛フェルトの形を確かめながら、くぼませたい部分に集中して、フェルティング用針をちくちく刺しましょう。
【作り方】
※単位は㎝。
※写真は薄茶のうさぎで解説。
2〜6も、ここでの作業を参照して、各パーツを作りましょう。
1.頭を作る。
①パーツ用の羊毛フェルト(以下、フェルト)3gを、横、縦と、1〜2㎝幅ずつ折りながら、端からきつめに折りたたむようにして丸める。
*フェルティング用針で刺す前の丸めたフェルトのサイズは、でき上がりサイズの約1.5倍が目安。ここでギュッとかたく丸めておくと、フェルティング用針で刺す回数が少なくてすむ。
②カッティングマットの上にフェルティング用マット(以下、マット)を置き、①をのせ、フェルトを回転させながら、いろいろな方向からフェルティング用針(以下、針)を刺し、頭の形にする。
*針先がカッティングマットに届くくらいに深く刺すと、芯までかたくなり、しっかりとした仕上がりになる。
サイズが足りない部分やふっくらさせたい部分は、分量外のフェルトを巻きつけたり、ほぐしたフェルトをつけ足して。
①パーツ用のフェルト0.2gを、マットの上で平らに広げる。周囲の端から約1 ㎝内側を、軽く刺し固める。
※裏返して、反対面も同様に作業する。
②でき上がりサイズの約1.5倍の長方形になるように、左端→上端→右端の順に折り、全面に針を刺して耳の形にする。側面にも刺してきれいに整えること。このとき、下端0.5㎝には針を刺さずに、ふわふわの部分を残しておく。
※①、②と同様にして、もう1個作る。
パーツ用のフェルト3.5gを、横、太くしたい下側のみ縦と、1〜2㎝幅ずつ折りながら丸める。上端1㎝はふわふわの部分を残して全面に針を刺し、ボディの形にする。
4.腕を作る。
パーツ用のフェルト0.3gを、端からくるくると棒状に丸める。上端0.5㎝はふわふわの部分を残して全面に針を刺し、腕の形にする。
※同様にして、もう1個作る。
5.しっぽを作る。
パーツ用のフェルト0.2gを両てのひらの間にはさんで丸め、全面に針を刺して直径約1㎝の球形にする。
パーツ用のフェルト0.8gを、横、縦と、1〜2㎝幅ずつ折りながら丸める。フェルトを置いたまま、中心をめがけていろいろな方向から針を刺すと、自然に、下面が平らなドーム形になる。ドーム形になったら、フェルトを回転させながら全面に針を刺し、整える。
※同様にして、もう1個作る。
*フェルトを同じところに置いたまま刺し続けると、マットにフェルトが固定されてしまうので、時々フェルトをはがし、置き直す。
パーツをつける位置や鼻、口の形は、写真を参照しながら作業しましょう。
7.頭に耳をつける。
②①を頭にのせ、耳のつけ根全体に針を深く刺し、固定する。
※反対側の耳も、①、②と同様にして作業する。
7の目の位置に、目打ちで、約1.5㎝の深さの穴をあける。ソリッドアイの先端にボンドを少量つけ、穴に差し込む。
※反対側の目も同様にして作業する。
鼻&口用のフェルトを適量とってよくほぐし、8の鼻の位置にのせ、針を刺す。直径約0.5㎝の鼻の形に針を深く刺し続けると、フェルトが自然にまとまる。フェルトの量が多いようなら、固める前に、ちぎって取り除く。
①鼻&口用のフェルトを適量、細く裂く(長さは10〜12㎝)。
②①の端を鼻の下に当て、針で刺して固定する。片端を引っぱりながら、線を描くように針を刺し、余分をはさみでカットする。
※反対側の口も同様に作業する。
11.頭とボディをつける。
①ボディのふわふわの部分を360度広げる。
12.ボディに腕をつける。
ボディに腕をのせ、つけ根(ふわふわの部分)の全体に針を深く刺し、固定する。
※反対側の腕も同様に作業する。
13.耳と足に布を縫いつける。
①お好みの形で足用と耳用の布を2枚ずつ用意し、それぞれの周囲に0.5㎝の縫い代線を引き、縫い代線でカットする。それぞれ、縫い代のカーブ部分に、切り込みを入れる。
②縫い針に縫い糸(布の地色と同色)を通し、1本取りにする。7の耳に①の耳用をのせ、縫い代を内側に折り込みながら、たてまつりで縫いつける。
※両サイドと下端の直線部分をまつってから、カーブ部分を最後にまつる。
※反対側の耳も同様に作業する。
③ 6の足の平らな下面にも、②と同じ要領で、①の足用をそれぞれ縫いつける。
14.ボディに足をつける。
ボディに足のドーム形側を重ねてのせ、ぐるりと1周、足のつけ根の全体に針を深く刺し、固定する。
※反対側の足も同様に作業する。
15.ボディにしっぽをつける。
ボディにしっぽをのせ、つけ根の全体に針を深く刺し、固定する。
16.ネックレスをつける。
①縫い針に縫い糸(白)を通し、2本取りにする。首(ボディと頭のくぼみ)の後ろ側・中央をすくい、糸の輪の中に針を通して引き締める。
②縫い針にパールビーズを、首の周囲の長さ分通し、パールビーズが首にぐるりと巻きつくようにして首の後ろ側・中央を再びすくい、引き締める。
④アクセサリーパーツを縫い針に通し、パールビーズを通した糸をまたぐようにして、前側・中央から後ろ側・中央に縫い針を出し、玉留めする。
※玉結び・玉留めが目立って気になるときは、ほぐしたフェルト(分量外)を適量かぶせて刺し、表面を整える。
※でき上がり寸法:幅約5 ㎝ ×高さ約8.5㎝×奥行き約5 ㎝。
この作品は、2012年2月号『はんど&はあと』P45~47の記事を編集/加筆したものです。転載、記事のコピーはご遠慮ください。
作品制作:池口紗代(いけぐちさよ)http://sawawa.babyblue.jp/